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「…坂井さん…。」
坂井さんはあの噂の要注意サラリーマン。
私は瞬時に警戒した。
今は格好が『華恋』だ。
それに、ここはまだ『パリ』の近く。
何か変なコトになったらお店にも迷惑がかかる。
ここはどう出るべきかためらっていると、坂井さんがパアッと明るい笑顔を作った。
「待ってたんですよ、華恋さんの仕事が終わるのを。…前も待ってたんですけど、その時はなぜか見つけられなくて。」
…そりゃそーだ。
普段のダサ子と今のこの変身後を見て、フツーの人が同一人物だと思うワケがない。
…ってか。
待ってたって…?
私が無言のまま探るような目を坂井さんに向けると、彼は顔を紅潮させたまま言葉を続けた。
「普段は眼鏡なんですね。…似合いますよ。やっぱり華恋さんは思ってた通りの人だ…。」
「……?」
坂井さんの言葉の意味が分からなくて、私の眉間にうっすらシワが寄る。
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