のらりくらり

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「大丈夫か蒼汰!…てめぇ、手出したら殴るつったよなこのアマァ…っ!!」 「ひっ」 少し遅れて空き教室に入ってきたコウは、女子を見つけた瞬間殴りにかかって来た。 ちょ、殴るのは流石に…っ! と思ったら、ナコが空いている右手を真横に伸ばしてコウを制止させた。 「止めてよ犬。僕らが殴ったら蒼汰が加害者になるんだよ。そんなのもワカンナイの?」 「だけどよぉ!」 「わ、私達はコウ君達が蒼汰君に脅されてると思って、助けて」 コウの大きな声と迫力に驚いて女子の声が小さくなっていっている。 「誰も頼んでねぇんだけど」 「でた女子の言い訳。僕達は蒼汰が好きでパートナーになってるんだよ。」 コウ達の殺気を受けてガタガタと震える女子が必死に言葉を紡いでいく。 「だって、コウ君達、捨てられてた、んでしょ…?蒼汰君家追い出されたら、また…」 「蒼汰は…っ!」 「…俺は、そんなことしないよ」 絶対に。 ナコはああ言ったけど、俺には女子の姿は嘘をついているようには見えない。 …この子の言う通り偽善者かも、俺。 「…ごめん、俺が頼りないばっかりでそんなこと言わせたんだよね。本当、ごめん」 「ぅ、…っうぅ…ごめ、ごめんなさいぃ…っ」 ボロボロと泣き出した女子達。この涙が本物ならいいんだけど。
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