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その後、俺は女子を慰めようとしたら、コウに腕を取られ教室を連れ出された。
「ちょ、コウ!?」
「・・・」
俺の呼びかけに返事をするどころか止まりもしないコウ。ナコも後ろから黙ってついて来ているのが足音で分かるが…。
「ナコも…っ。一体何なんだよ」
「蒼汰」
「…っ?」
ゆっくりと足を止めたコウに俺も合わせて止まる。
此処は……音楽室?
止まった場所は先程の教室と同じ階にある音楽室前の廊下だった。
「コ」
「……ばか蒼汰……」
「え、……うぐっ」
「ありがとう…」
突然振り返ったコウは俺をぎゅうと抱きしめた。苦し…っ。
「ナコ助けて。俺なんで抱きしめられてんのか分からん」
「ふふっ、今回は犬の味方だよ」
ニコニコ嬉しそうに笑うナコ。一体なんだってんだこの獣人達は!!
「うっ裏切り者ぉー…。っぐふ……」
意識が、遠く…。
「どうし…蒼汰!?」
「蒼汰っ!」
この後、俺はコウにきつく抱きしめられ過ぎたせいで気を失ったらしく、気付いた時には保健室で寝ていた。
ナコがコウに説教をしていた煩さで目が覚めたらしい。
様子を伺っていたら、何故か二人とも嬉しそうな顔してたんだけど……あいつ等が楽しそうだしいつも通りだからいいかな、なんて思ったり思わなかったりして、ふ、と顔が綻んだ。
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