※絶対なんて無い

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「くっ、はは……!オッサンの反応面白れえ」 「……っ」 俺の感は正しかったな、と笑う男にじりじりと後ずさる。 「オイ」 「なっ、何ですか」 男の突然の低い声に、ビクリと体が跳ね、動きが止まってしまった。あ、足が動かない…!! 「好きだ」 「……は?」 な、何を言ってるんだ? 「何言ってんだコイツみたいな顔してんな」 「うっ」 かっ、顔に出てたか!? ペタペタと顔を触っていると、不良が喉を鳴らして笑い出した。 「まぁいいか……。『タツキ』」 「?」 いきなり真顔になったかと思うと、名前を言った不良。というか、誰の名前だ? 「『龍輝』。俺の名前」 「っ……なんだ、通報して欲しいのか!?」 そう言った俺にニヤリと笑う、龍輝。 また顔に出てたのだろうか。そんなに出やすくない筈なんだが……。多分。 「ちげぇよ。通報したところであんた男に痴漢されたこと警察に言えんのか?」 「っ!」 その事を考えた瞬間、一気に頭から水を被ったかのように血の気が引いた。 「覚えとけ。次会う時まで忘れんじゃねえぞ」 ―――坂城さんよぉ
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