雪と林檎と

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時刻は8時半を過ぎた頃。 「そろそろあの子が来る時間かなー…」 ポツリと呟いて白い息を吐いたその時、後ろの方からとてとてと可愛らしい足音が聞こえてきた。 「…やーしゅーゆーきーせんせー!!」 「お、隆成君!今日も1番だっぐふぅ!?」 振り返った瞬間、お腹に小さな頭を突っ込ませてきた男の子、隆成君。 「せんせ?」 三歳児らしい可愛い顔をこてんと傾げ、俺の不自然な表情をじっと見詰めていた。 「…っあぁ、大丈夫だよ大丈夫。おはようございます、隆成君」 「うん、おはよーございます!」 あー…可愛い。 隆成君の笑顔で、寒かった体が暖まりお腹の痛みも何処かへ飛んで行ってしまった。可愛い過ぎて顔が綻ぶわー。 「せんせ、せんせっ」 「ん?どうしました隆成君?」 隆成君の笑顔に思わず見とれていた俺は、不意に目の前から聞こえてきた声で我に帰った。 「ん、ん!」 「…え、何かな?」 隆成君がぴょんぴょん跳ねて、俺の服を引っ張る。…しゃがんでってこと、かな。
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