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「ごめん、遥。
ありがとね。」
私は笑って、遥の隣に腰掛けた。
「フフッ…小雪、明日チロルチョコ奢りね。」
「うえ~…二十円くらい払えよう。」
バッグを足元に置き、眉をしかめながら上着を脱ぐ。
「チロルが食べたい気分なの!ミルクのやつ。」
身体をくねらせて、遥はチョコの必要性をアピールした。
年齢関係なく、チョコレートは女の子の強い味方だから、らしい。
「はいはい。」
私は遠くにあったさつま揚げを、箸でぶっ刺した。
「小雪、新商品のアンケート集計終わった?」
「終わんないよあんなん。
東京地区一帯の調査だよ?
も、猫の手も借りたい。」
私達は某化粧品の開発を任された、株式会社「コバルト」の会社員。
したっぱだから基本的雑用が多く、自分の意見は上に通ることは滅多にない。
開発企画運営は、私達にとって雲すら掴めない話。
「ねー遥。」
ビールを一口飲み、横でぽーっとしてる遥を見た。
遥はお酒に強いけど、疲れてる時はぽーっとなってる。
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