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熱っぽい目で西野さんを見上げると、彼は私の首を撫で回した。
「あの……。」
まるでペットの機嫌とり。
くすぐったくても、拒否れないのがミソ。
「お前ってさあ。馬鹿みたく一途。」
「…。」
「何食って育ったらそうなんの?」
細目で思う。
そういう言い方するならそう。
確かに私は、一途な忠犬。
ゆっくり触れ合う唇。
キスの仕方は、人が出る。
だからこのキスにも、西野さんのテクニカルらしさがよく出てる。
果てしなくブレイクで、脆くて厳しい、それでもって冷たい、ぐっちゃぐちゃのやつ。
流される。
好きな人に迫られて断る健全女子なんて、今時いない。
さっき私、あなたの手握りましたよ?
でもあなた、なにも言わなかったし、なにもしなかった。
私を、どうしたいの?
西野さん、よく分かんない。
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