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冴えなさそうな雰囲気を持つ冴島さんは、耳まで真っ赤になっている。
それはさておき。
──西野さん、か。
見てたことを悟られぬよう、私は出口を気にする仕草をした。
こうも身近にいるんだね、テレビに出ればいいのに、って言いたくなる人って。
遥や西野さんが、いい例だ。
隣でタコの唐揚げを食べる、ピンクのワンピースを着た遥と、レモン色のワンピースを着た私。
比べたら断然、ピンク。
「早いですね……もう帰るんですか。」
後ろの二人の会話に、思わず聞き耳を立ててしまう。
「悪い悪い。
てか、そんだけ寝りゃ問答無用だろ。」
「まあ……それ言われちゃおしまいですね、はは……。」
冴島さんの苦笑いに、西野さんも笑いながら、背広を着始めた。
「冴島カードあっか?」
「……財布に。多分。」
「んじゃ、とっとと会社戻ろうぜ。苦行として。」
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