9898人が本棚に入れています
本棚に追加
当たり障りない会話。
飄々と部下に接する西野さんは、全体的に細かった。
でもきっと着痩せで、ちゃんと筋肉も付いてると思う。
マサキの身体を熟知していれば、こういう予想も難しくない。
西野さんが立ち上がった時、体の至るところが硬直した。
フッ……と、タバコの匂いがかすった。
続いて冴島さんも、慌てて鞄と背広を抱え、靴を履き、会計にダッシュ。
やっとそこで、肩の力が抜けた。
……緊張した。
アダルトチックでカッコいい人だったな、西野さん。
年は……20代半ば。
身長は…175以上あるかな。
「……あーっ……眠っ。」
緊張の紐が緩みあくびをすると、「スイッチオフってますよ藍沢さーん。」と、同僚の男子に笑われた。
「……小雪?」
頭上に遥の顔があるのがわかった。
この時私はすでに、西野さんのことを完璧忘れていた。
意識が、電灯のスイッチみたいに付いたり消えたり。
そして、完全に消えた。
最初のコメントを投稿しよう!