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地を這うような唸る音は次第に近づき、ドドドド…という音に変わって音量も上げていった。
だが、想像していた地面を突き上げるような揺れは一向にこない。
おかしい。
これは地震ではないのか。
そう訝しく思い始めたとき、家の外の様子がおかしくなった。
人々のざわめき叫ぶ声と共に、何かが壊れるような破壊音が連続して聞こえてくる。
その度にまた人々の悲鳴が発せられる。
「あなた…」
様子を見に行こうとするブロフィーの腕を妻は強く掴んだ。
「大丈夫。何があったか見てくるだけだ」
そうは言ったものの、家の外でただ事ではないことが起きているのは容易に想像ができる。
ブロフィーはゴクリと唾を飲み込むと、意を決して玄関の木戸を開けた。
その情景にブロフィーは信じられない思いで息を呑んだ。
村の人々が何かから逃げるように目の前を通り過ぎていく。
着の身着のまま枕を手に持って転がるように走る老人や、何かに立ち向かうように鍬を手にした男、そして泣き叫ぶ女性の姿。
それらを薄い雲の隙間から射した月明かりが浮かび上がらせていた。
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