4人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
背はかなり高い方だ。髪も長かったが、彼女の澄んだ瞳を引き立てていた。
「……」
「磯崎さん、自己紹介お願いできるかな?」
「……」
クラスが気まずい雰囲気になりかけたその時
キラッ
微かな光と共に、何かが彼女の手の中に現れた。
『磯崎 綾乃です』
メッセージカード!?
……さっきとは全く違う空気が流れた。
呆気に取られている先生を除き、クラスの皆が目を見張った。
そして次の瞬間大きな拍手が起こった。
(磯崎さん、手品上手すぎ……)
手品をよくやる僕にさえ、タネが全くわからない。
何とか冷静さを取り戻した先生は、
「あ、あ………えっと、それでは、好きな食べ物とか、一言お願いします……」
と、磯崎さんにいった。
先生にとってはそれが災いした。
彼女が素早く手をひるがえすとその手の中には、イチゴが乗っていた。
イチゴが好きとは、以外だ……以外と普通だ。
まあ、そうだよな。
先生はそのあとも頑張ってイロイロ磯崎さんに聞いていたが、その日は彼女が口を開くことはなかった。
最初のコメントを投稿しよう!