究極の手品

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背はかなり高い方だ。髪も長かったが、彼女の澄んだ瞳を引き立てていた。 「……」 「磯崎さん、自己紹介お願いできるかな?」 「……」 クラスが気まずい雰囲気になりかけたその時 キラッ 微かな光と共に、何かが彼女の手の中に現れた。 『磯崎 綾乃です』 メッセージカード!? ……さっきとは全く違う空気が流れた。 呆気に取られている先生を除き、クラスの皆が目を見張った。 そして次の瞬間大きな拍手が起こった。 (磯崎さん、手品上手すぎ……) 手品をよくやる僕にさえ、タネが全くわからない。 何とか冷静さを取り戻した先生は、 「あ、あ………えっと、それでは、好きな食べ物とか、一言お願いします……」 と、磯崎さんにいった。 先生にとってはそれが災いした。 彼女が素早く手をひるがえすとその手の中には、イチゴが乗っていた。 イチゴが好きとは、以外だ……以外と普通だ。 まあ、そうだよな。 先生はそのあとも頑張ってイロイロ磯崎さんに聞いていたが、その日は彼女が口を開くことはなかった。
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