1の巻

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3.ダンスはうまく踊れない 「あのー、糸くずがついてますよ」  近所のスーパーに買い物に来ていたわたしは、少しばかり高いキャベツとにらめっこをしていた。 「えっ?」  不意に後ろから声をかけられて、ビックリしたのもそうだけど、その男性が買い物カゴを床においてジェスチャーで糸くずの着いている場所を示してくれたことに、一瞬反応が遅れてしまった。 「失礼」  彼の大きな手がわたしのあたまについている茶色の糸をつまんでくれたときは、多分少女漫画の主人公が憧れの先輩に声をかけられてオドオドしているような様になっていたに違いない。  ――思い出すだけでも顔が赤くなる。 image=460989167.jpg
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