1の巻

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 もしかしたら運命の出会いとか、積極的に攻めろとか、変化が現れるような占いがあれば、もしかしたら、また会えるかもと淡い期待をしていた自分に気づき、少し不機嫌になる。 「バッカみたい」  なにも変わらない朝……少しくらい変わってくれればいいのに。化粧も服装もばっちり。鏡の 前には昨日とまったく同じ自分がいた。その前も、その前も、そしてこれからも? 「ふー、いきますか!」  別にふさいでなんかいない。わたしは何も変わっていないのだから、何を期待することがある。ただちょっと、素敵だなと思う人が現れて、そしていなくなっただけじゃない。  こんな気持ちにゆれてしまうのは、あいつのせいなのか? 「あいつ、今頃どうしてるかなぁ」  携帯電話のアドレスを眺める。あいつと電話をしたのは……あれは確かパソコンがうまく動かないとかで、あいつからかけてきたんだっけ 「まったく、ユーザーサポートじゃないんだからね」 「ゴメン、ゴメン、他に頼れる人いなくて……」  電話口の向こうで、あいつが髪をかきむしりながら、それはそれは立派にはにかんでいる姿が目に浮かんだ。  そして『他に頼れる人がいない』という言葉が、わたしの心を揺さぶった。 「もう!こんなことで夜中に電話かけてこないでよね」  ちがう。そうじゃない。わたしは夜中でも明け方でもいいから、かけて欲しいと思っている。だけど、それって何?わたしは何を期待しているの?何を望んでいるの? image=460993770.jpg
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