1の巻

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「でも、でも、今日はそんな話じゃないでしょうー。先輩なにかあったんですか、もしかして、もしかして」 「コラコラ、そんなに煽るな、煽るな。あまり期待されると話しづらくなるでしょう!」  別に会話に入るのが嫌だったり苦手だったりするわけではない。  キヨミはただただ焼肉が好きなのである。 「すいませーん。カルビ二人前とタン塩二人前追加おねがいしまーす」  わたしは彼女の食べっぷりを見るのが好きだ。  わたしも安心して暴飲暴食できる。 「あんたたちこそ、どーなのよ。最近うまくいってるのー?」 「えー、それ聞いちゃいますー。わたし、暴れちゃいますよー」  しめた! かかった。  今日はサッチンに酒の肴になってもらおう。  まさかこの歳で一目ぼれしたなどと、口が裂けてもいえない。  飲もう! 今日はとことん盛り上がろう!
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