†1st Story・迷子旅†

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「こんばんは、お坊っちゃん」 突然、背後から声がしました。慌てて振り向くとそこには、金髪で無精髭を生やし、鼻眼鏡を掛けた白衣の男が立っていました。 「だ、誰です!?」 「うーん、本名は訳あって言えないけど…まぁ、お兄さんのことは『Dr.リアリスト』って呼んでくれればいいよ」 Dr.リアリスト…『現実主義者』? 変な名前の男ですね。私が彼を疑わしく見ていると、彼はこう話を切ってきました。 「それにしてもこんな時間に一人でフラフラ、一体何をしているのかな?」 「さ、探し物を。忘れてしまった大切な何かを」 「探し物?お兄さんには君のほうが捜されるべき迷子にしか見えないけど」 その言葉を聞いたとき、頭の中で声がしました。知らない、知らないんだ!と。 「あ…ああっ!」 頭を抱え、フラフラと元来た道をたどろうとしたとき、リアリストに止められました。 「待って。君の捜すものはそんな所にはないよ」 「?」 何を言っているのでしょう。 「俺は真実を知っている」 …え? 「どういうことですか!?真実を知っているって…」 「まぁ、付いてくればわかるよ。さぁ、こっちにおいで」 くるりと背をこちらに向け、先へと歩いていくリアリストに私は付いていくことにしました。 そして着いた場所は…。 「君が見るべき真実はここにある」 迷子旅という名の散歩の終点は―… 踏切。 「あ…」 思い出しました。
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