魔族の誕生日

10/33
前へ
/33ページ
次へ
1-9 「ああ、そういやあさ、施設にいた時、聞かされたことあんだけど、幼い子供を残してった親は、たまーにこっそり様子を見にきて、子供が寝てる間に贈り物を枕元に置いてくっつーのがあったな。どうせあんなものはほら、子供を寝かしつけるための常套句だったんだろけど、ちっせー頃は信じてたなあ」  そういうことは一番に言ってくださいっ、とセリューナは思う。 「その贈り物って何だったんですか」 「紙でできた花。な、子供だましだろ」  当時を思い返しているのか、ふふー、と子供っぽい顔で笑った。  もしその表情を、アルスさまも見せてくれるのなら。 「それ、やってみようかなあ」 「ん? ってことは兄上が寝てるとこに忍びこむのか。やるなあ」 「うわ、まずい、ですよね」
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加