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「今日がフェシルミアさまのお誕生日なので」
「え! そんなの初めて聞いたわよ。どうして一族の人たち教えてくれなかったのかしら。何かお祝いしてあげなきゃ」
無意識に声が大きくなってしまったらしく、ううー、とまたレイリューンが顔をしかめた。
ごめんね、とちいさく謝る。
「いえ、一族の誕生日は産んでくれた両親に感謝する日なんです。フェシルミアさまはもうご両親がおられないので、みな、それを思い出させないために、あえて普段通りにしてるんですが、やはりご本人はそうはいかず、毎年その前後は眠れないようで、私がつきあわされる羽目になるんです」
「じゃ、フェンさまも?」
でーきた、と言って、セリューナが髪から手をはなす。
これでほぼ、いつもと同じ彼になった。
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