魔族の誕生日

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1-7  兄に挨拶をすませて執務室を出るなりセリューナに捕獲されたフェンドルバータを助けようとする者は誰もいなかった。 「おいおい…っ」  そのまま連行されたのは側近の控室で、同情するように笑うレイリューンの姿があった。 「お願いがあるの!」  何事!? と身を引くフェンドルバータに構わず、セリューナは詳細を告げた。  なんだ、そゆことね、とレイリューンに視線を投げる。  にこやかに笑う様子を見る限り、どうやら悪知恵を働かせたのは彼のようだ。 「やー、俺が気づいたとき、兄上はもう兄上だったからなあ。あんたがそばにいてやるのが一番なんじゃねーの」
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