村祭り

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 剛は今恋をしている。相手は同じクラスの佐藤真由。剛は東京からこの村に転校してきたのだった。学校の帰りに夏祭りの看板を見つけた。よし、思い切って誘ってみよう。   次の日お昼休みに珍しく真由が独りで席に座っていた。今がチャンスだ! 「あの、佐藤さん良かったら今度のお祭りに一緒に行きませんか?」  真由は驚いたような表情になったがOKしてくれた。切れ長の涼しげな瞳が剛を見つめた時胸の鼓動は高鳴った。 「ええ、いいわ。私の家に迎えに来てくれる?夜道は怖いから。地図は今書くわね」  当日になった。その日は昼間からそわそわしていた。やっと日が暮れた。剛は家を出た。地図を頼りに歩いていった。盆踊りもあるらしくやぐらが立っている。真由が踊っているところが見たいな・・・。真由の家に着いた。昔ながらの民家だった。ブザーもない。勝手にガラガラと玄関の戸を開けて言った。「あの・・・真由さんいますか」  少し間があったが真由が玄関まで出てきた。 「道に迷わなかった?うち分かりにくいところにあるから」 「いや、大丈夫だったよ」 「盆踊りもあるみたいだけど真由も踊るの?」 「そうね、気分次第ね。酔っ払いにお尻触られたことがあるから、変な人がいなければやぐらで踊るかも」  祭りの中心にやっと着いた。剛はお腹が空いていた。真由はどうなんだろう。 「なあ、お腹空かないか?俺夕飯はここでなんか買って済ませようと思って何も食べてないんだ」 「私は軽く食べて来たんだけど、付き合って食べてもいいわよ。盆踊りはまだ始まってないし」  二人はまずお好み焼きを買って人ごみから離れて食べた。 「結構いけるな」 「そうね」 「俺、焼きそば買ってくるわ。これだけじゃ足りないよ」 「じゃあ、私ここで待ってる」  剛は真由を待たせないように急いで買ってきた。そしてあっという間にたいらげた。太鼓の音が聴こえて来た。盆踊りが始まるのだ。 「私、行ってくるわ。上から見えたら手を振るね」  真由は走って行った。お囃子が始まるとやぐらに上った人たちが踊りだした。真由が手を振っている。毎年踊っているんだろう、見よう見まねの人に比べ格段に上手い。真由が戻ってきた。額にうっすらと汗をかいている。剛は胸がドキドキした。 「真由にお願いがあるんだけど、明日は浴衣を着て来てくれないか。是非真由の浴衣姿見たいんだ。」
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