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あったかでやさしい
そのぬくもりを感じているうちに彼はしぜんにこれが母さんなのだと知ったのだった。
産まれてから一時間もたつと、彼はもう自分の足でふんばって立っていた。
立つのはなかなか苦労したが、母親に励まされながら、何度も倒れながらやっと立ち上がったのだ。
立ち上がった時、彼は思わず目の前の風景に見とれた。
高いところ、とは言っても産まれたばかりのアイベックスの背の高さなどたかが知れているのだが、それでも彼は産まれてから一番高いところから見た初めての風景に心をうばわれたのだった。
どこまでも続く高い嶺、そよそよと風の吹く緑の草原がそこには広がっていた。
「いつか、あんなところをかけまわってみたいな。」と彼は思っていた。
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