「始まり」という言葉がある。

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 あなたは今、「箱」の前に入っている。外見は無機質で飾りっ気がない。  しかしどうやら、その箱にはいろいろなモノが詰め込んであるようだ。あなたは、箱の蓋に手を掛けてみる。  ここで問題。  何が詰め込まれているでしょう。  それを決めてくれるのは、あなただ。  幸か不幸か、この物語を手にしてしまったあなた自身だ。  輝く宝石だってあるかもしれない。古びた宝の地図もあるかもしれない。金のネックレス、ブリキの兵隊、薄汚い紙くず。何だって可能性はある。  一つ一つのモノを手にとって、考えてみて欲しい。  「これは宝石だ」「これはただのゴミ」「これはぬいぐるみ。癒される」  自由に判断して欲しい。  その判断によって、そのモノ達に価値が与えられ、この箱は宝箱にもゴミ箱にも変化する。  どんな箱と感じるかは、あなた次第だ。  さあ、それでは早速箱の蓋を開けてみてくれ。  その先には何が待っているのか。それを決めるのもあなただ。  この短編集は、宝箱なのかゴミ箱なのか……。  案外、ただのびっくり箱かもしれない。
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