「図書館」という言葉がある。

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 大学二年生の僕の日課は、図書館に通う事だ。  この町の真ん中より少しずれた所にある市立図書館。僕は毎日、大学の講義が終わるや否やそこに行く。そして図書館に据え置かれている木製の机に座って、ボーッと眺めるんだ。  何を眺めてるかだって?  へへ、実は可愛い司書さんがいるんだ。  本当可愛いんだよ。綺麗な長い黒髪のさ、おしとやかそうなさ、なんていうか、大人の女性って感じの人が。  どストライクなんだよ。特に、貸し出しカウンターで健気に働いている姿なんか、凄く萌えるんだ。  別に本は好きじゃないんだけどさ。司書さんに会いたいから、僕は図書館に通ってるんだ。  今年で25歳になるあたしは、図書館に司書として勤務している。  この町の真ん中より少しずれた所にある市立図書館。朝10時の開館の一時間前から、様々な事務所理のためにあたしは勤務してるの。といっても、本当はたかが司書にそこまでの事務仕事はないのだけれどね。  じゃあ、なんで一時間も前から図書館に勤めてるのってことになるわね。  実はね。館長がね、すっごいダンディーなの。  多分、彼はもうすぐ50歳ぐらいになるんじゃないかしら。強い眼光を湛える瞳と、知性を感じさせる深い皺におしゃれに整えられた白髪のあごひげ。  その辺のなよなよした若い男なんかより、館長の方がよっぽど恰好いい。物憂いげに本を眺めている姿なんか、グッときちゃう。  正直、あたしは本はそんなに好きじゃない。ここに勤めてるのは、館長がいるから。  私の仕事は、図書館の館長だ。  この町の真ん中より少しずれた所にある市立図書館。毎日勤めてるここは、私にとって最高の職場だ。  私は、本を愛している。  毎日愛している本達に囲まれるなんて、図書館の館長は正に私の天職と自負している。  それに、ここには本を愛してくれる方がたくさん集まってきてくれる。  勤務時間よりずっと前にきてくれる司書の方もいるし、毎日きてくれている学生の方もいる。  なんてここは素晴らしい場所なんだろう。私はとても満足している。
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