一章 虫の知らせ

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  ◆◆◆01◆◆◆ 差し込んでくる日の光とうるさく鳴る目覚ましの音で、先程までの映像が夢である事が理解出来た。 眠っているときの夢というのは、その人の精神状態を表しているらしい。 そうは言っても、テレビや雑誌をちらっと見て覚えた知識だから、詳しくは知らない。 でも昔の良くない記憶を夢で見るというのは、ストレスが溜まっていたり何かに行き詰まっているからだと書いてあった気がする。 「はあ、朝から……最悪……」 重たい体を起こしながら眠い目を擦り、音切 軋魅(オトギリ キシミ)はぼやきつつも洗面所に向かった。 洗面所に取り付けられている鏡を見てみる。 鏡の向こう側には、寝癖であちこちに跳ね上がった髪と疲れきった表情の少女がこちらを見ていた。 そんな顔を見て思わず二度目の溜め息が出る。 「……うん。シャワー……浴びてこよ」 嫌な思考を払拭するため、軋魅は浴室に向かった。
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