私のこと

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   私は『さくらいあやこ』  花の『桜』井戸の『井』彩りの『彩』子供の『子』という漢字なんだそうだ。  でも私『漢字』ってわかんないんだ。私にとって文字は『点字』だから。  墨字には平仮名、片仮名、漢字、数字、記号とかいろいろあるらしいけど、点字は、墨字の平仮名と数字と一部の記号しかないんだって。  あ、『墨字』って、目が見える人が読んでる文字のことです。点字に対してこう言うんだって。  ここまでで予想付いたと思うけど、私は目が見えない。生まれつき見えない。明るさも感じられない。  私はとても恵まれてると思う。両親は私にできることは何でもやらせてくれた。  学校は盲学校に通ったけど、水泳とピアノを習わせてくれた。私に教えてくれる先生を探すだけで一苦労だったと思う。  母は毎回送迎してくれた。陸上トレーニングの伴走は父か兄が付き合ってくれた。  おかげで、水泳の自由型の強化選手に選ばれた。  両親は大学進学を勧めてくれたけど、私は鍼灸の専門学校に通うことにした。  視覚障害者の一般的な、ぶっちゃけ、ありきたりな進路だけど、勉強より水泳と音楽が好きだからね。  
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