オシリス その1

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   私の盲導犬訓練センター入校は、ちょうど専門学校の夏休みに当たった。  水泳シーズン真っ只中に4週間泳げないのは痛いが。  今回の共同訓練は4人と4頭。4頭は同時に産まれた7頭の兄弟のうち、盲導犬の適性を認められた子達なんだって。  私は今回も恵まれていて、盲導犬を使用できる年齢になって間もなく盲導犬使用許可が出たけど、何年も待つ人の方が多いらしい。  希望者が待たずに盲導犬を持てるようになって欲しいから、7頭産まれたなら7頭皆盲導犬になれないのかな?  後で聞いた話しによると、盲導犬にならなかった3頭は、オリーブという名前の牝で繁殖犬に、オアシスという名前の牡で繁殖犬兼PR犬になったそうだ。  そっか、盲導犬の親がいないと盲導犬は増えていかないもんね。  もう一頭は、猫嫌いを克服できなくて盲導犬になれなかったそうだ。一般のお宅で飼われることになった。  なんか情けなく聞こえるけど、道端に猫ちゃんが飛び出してきたときに盲導犬がパニクったら大変なことになる。  苦手って人間だろうが犬だろうが1つや2つあって当たり前。仕方ないんだね。  
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