オシリス その1

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 オシリスは私のペットではない。私の眼、私の相棒、私の運命共同体。  だから、オシリスはただ可愛がるためだけの存在ではない。早速運命共同体になるための訓練が始まった。  先に訓練士さんからハーネスワークを習っていたけど、オシリスのハーネスを初めて握ったとき、私は走り出した。感激に思わず、ではない。オシリスの歩く速さに合わせただけだ。  これが人の歩く速さなの!?今まで私はゆっくり歩くかランニングしかしたことがなかったのだ。生まれて初めて普通に歩いた。  パートナーの世話は全てユーザーが行う。  私、シロのシャンプーとかブラッシング、ウンチの始末、したことなかった。いくら私の家族は私を特別扱いしてこなかったとはいえ、目の見えない娘に飼い犬のシャンプーをさせないことが特別扱いだ、なんて誰も思わないだろう。  犬のシャンプーやブラッシングって結構な重労働だ。ラブラドールが巨体だから尚更なのかな。  でも手抜きはできない。世の中、犬嫌いや、動物の毛が落ちてたら嫌な思いする人たくさんいるもんね、残念ながら。  でも、毛が落ちたであろうと思われる場所全体を文字通り『盲滅法』ガムテープで掃除しなきゃいけないのは納得できない。見える人達もそこまでやってる?  納得できないけど、盲導犬を始め介助犬のユーザー皆が肩身の狭い思いをしないように気を付けなきゃ!  最後の仕上げ、自宅から訓練センター、専門学校、プールの行き来の交通機関をオシリスと二人だけで利用できるようになって、終了証を頂いた。いよいよオシリスと私の二人六脚のスタートだ!
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