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【一途な乙女の狂った黒い笑顔】
乙女は走る。
今日も愛しの彼に会うために図書室に目掛けて。
息を荒げて入り口のドアを開けるといつもの席を見る。
なんで、どうして、なんで?
いつもそこにいるはずの彼がいなかった。
乙女は校内を走り回った。
風になびいてスカートが捲れ上がったのも気にせず。
ただひたすら乙女は走った。彼を求めて。
けれど彼は見つからない。
そうだ、きっと彼は熱でも出して今日はお休みなんだわ。
乙女はそう思い汗を拭おうとハンカチを取り出す。
すると、視線の先、隣校舎の二階の教室。
求めていた彼を見つけた。
けれどそれは彼だけじゃなかった。
ねぇ、
隣にいる女は誰?
ねぇ、どうして
私にはずっと微笑んでくれなかったのに、
どうしてその女には笑いかけてるの?
どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?
あぁ。そうだ。
私にも彼に微笑んでもらえるかもしれない。
簡単な事じゃない。
あの女を消せばいいんだわ。
乙女は 今は 幸せな二人に向け微笑んだ。
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