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【一途な乙女と少女の食事】
「市村さん、お昼ご一緒してもいいですか?」
この間の一件があってから奴は積極的に私に声をかけてくるようになった。
忌々しいけれどこれも後の為にと思えば我満ができる。
「もちろんよ宝生さん。今日は何処にしましょうか?」
昼の場所は毎日変えている。
屋上、中庭、教室、食堂、、
乙女はいつも考えていた。どこでこの女を殺してやろうか。
教室でナイフで刺し殺す
屋上から突き落とす
誰もいない体育館裏で絞殺
食堂で毒殺
考えれば考えるほど悩んでしまう。
この女を世界で一番醜い姿で殺してやりたい。
その為にはどの殺し方が一番か…、
「市村さんのお弁当っていつ見ても美味しそうですよねぇ…」
乙女の弁当を見て感嘆の言葉を挙げる宝生
「そんなことないわ。けれど、いつ嫁いでも恥じないように努力はしてるわ」
そんな呑気な事を言っている宝生を見ていると笑いが込み上げてくる。
女が褒めている相手は隙あらば女を殺そうとしているというのに
「市村さん、もしかして婚約者とかいるんですか!!!?」
この女はどこまで鈍く図々しいのだろう
「…婚約者はいないけれど、好いている殿方ならいるわ」
「そうなんですかぁ!えっ、この学院の方ですか?」
いけしゃあしゃあと。この場で殺すべきか?
「そうよ…きっと彼も私の事を好いてくれてるはずなの」
「わああ!それってつまり両想いってことじゃないですか!凄い!!!」
手を叩いて喜ぶ宝生。その様子はまるで猿の玩具のようで滑稽だと思ったのに、乙女は何故か顔を朱くした
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