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「その料理なんだけどあなたの作るメニューはみんなカロリーが高いのよね。このままだと太ってしまうわ。こってりした料理は美味しいけれど少し低カロリーのレパートリーも増やしてくれないかしら」
低カロリー?俊夫は少し驚いた。栄子が日頃からそういったことを気にしているなんて全く知らなかった。確かに栄子は中年女性としてはスリムな方だ。太らない体質なのかと思っていた。俊夫はやや脇腹のぜい肉が気になるようになってきた。よし、カロリーブックを手に入れて研究しなければいけないな。
何でも屋のほうはここ一週間くらい依頼が無い。だから俊夫は家事に精を出していた。平和な日々が続いている。もちろん仕事用の携帯はいつも身につけている。いつ依頼が来るか分からない。早朝や深夜でも枕元に置いて寝た。
ある日、俊夫が夕食を作っていると携帯が鳴った。依頼だ。料理中の電話は困るが仕事だから仕方がない。幸いシチューを煮込んでいる最中だったからこのままでも大丈夫だ。
「もしもし、何でも屋のサトウです。ご依頼でしょうか?」
電話の相手はやや若い男性で穏やかな声だった。
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