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「はい、お願いしたいことがあって電話帳でここの広告を見てかけたのですが」
「どんなご依頼でしょうか?お見積もりはいかがなさいますか。もちろん電話のやりとりだけで料金をだいたい決めることもできますが」
男性は自分は会社員で忙しいから会社まで来て欲しい、と言った。お昼の休憩の時間に空いている会議室で打ち合わせをしたいらしい。早速翌日のお昼に男性の会社まで出向くことになった。都心のオフィス街だ。それだけ決めると男性はでは、今日は残業があるので、と言い電話を切った。
ちょうど良かった。シチューを作っている鍋の底を焦がしてしまうところだった。栄子の注文通りシーフードを肉の代わりに入れ生クリームは豆乳に代えた。これなら低カロリーになるだろう。
栄子が帰宅した。疲れているらしく機嫌が悪い。俊夫は刺激しないように穏やかに言った。
「おかえり、夕食はできているがすぐに食べるかい?」
栄子は少し休みたい、と言って二階に着替えに行った。明日は仕事があるから依頼によっては食事を作れないかもしれない。でもそれは仕方ない。何でも屋が本業なのだから。
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