プロローグ

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水道の蛇口を捻る。 こぉーだか、しゅーだか音を立てて洗面器に水が広がり、銀色の口を開けた排水口に流れ落ちる。 蛇口から止めどなく出る水を両手を器の形にして塞き止め、汲み上げる。 顔に掛けた。 顔を洗って、次に歯を磨く。 歯ブラシを握って顔を上げたら。 気の抜けた顔が僕の目の前で歯磨きをしている。 昨日、バイトの先輩に お前ってさ、言われれば10代後半のような顔をしてるし、30後半って言わても納得できる顔をしてるな。 と言われた気の抜けたこの顔。 とりたてて特徴がない顔ってことなのか。 別にムッとしたりはしないが、だからといって嬉しいとも思わない。 僕は20歳だし、どっち付かずでも良いのかも知れない。 いや、総じて老け顔なのだろうか。 さてさて、今日こそは大学へ足を伸ばそうかそれとも部屋で自堕落に過ごそうか、またあるいは早朝から出掛けようか悩んでいた。 そう言えば、レポートの提出日は今日か昨日までだったかな。 もう間に合わないだろう。 この時点で前者は切り捨てられた。 自堕落に過ごしていたのは昨日までしていた事だったし、せめて出掛けようか。 今日はバイトもあるし。 残った時間は有効に使うべきか。
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