仮面

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ドアを開けたままつったていた。 落下防止用の手刷りの向こう、白い雲が遠くのビルをぼやかしている。 いつもならその向こうの山まで見えるのだが、ビルすらあやふやな灰色の影となっていてその後ろは真っ白。 湿気の匂いが鼻にまとわり着いている。 …晴れだったと思っていたが… 当てが外れた。 っていうか、特に根拠も無しに今日も晴れてるだろうぐらいな気持ちだった。 出鼻を挫かれた思いにしぶしぶ振り返ってドアの横に掛けた傘を手に取り、鍵を掛けたの2度確認してアパートをあとにした。 今日はどこにいこうか… あまり金はないし…大学の友人は遠い。 さて…いきなり手詰まりだなこいつは。 我ながらちょっと情けない。 雨の日にわざわざ用もないのに外に出て、何をやってるんだか。 せめて実家なら近くに友人も居たし、フラフラとゲーセンにでも行けば知り合い位捕まえられただろうが。 ここはそうではない。 あー…群馬に帰りたい。 そう言えば埼玉県に来てから、長い事母親に連絡をとってないな。 こんな事してないで、一報でも入れたら良いのに。 しかし僕の思いとは裏腹に足はアパートから離れていった。
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