1人が本棚に入れています
本棚に追加
†
かつて仲間だった裏切り者に襲われる。
それを味方の女の子が間一髪で魔法の結界で攻撃を阻む。
裏切り者は諦めずに空から槍を召喚して、結界ごと少女を貫こうとする。
バギギギギ結界と槍の間に電が迸る。
つばぜり合い。
「―!?そんな…!私の魔法がっ!?」
結界は徐々にヒビが入り、裏切り者はニヤリと笑う。
「ははっ!やっぱ俺の方が強いんだよ!」
狂ったような、恍惚な表情で更に槍に力を込める。
果たして僕は、明らかに無用な駅前の古本屋でマンガを立ち読みしていた。
裏切り者と少女の良い場面に胸が熱くなる。この裏切り者も決して悪い奴ではなく、自分の妹の為に主人公らと戦ってるのだから憎めないのだ。
いつの間にか、視界のはじっこでカウンターに立っている店員が鬱陶しそうに頬杖をついて此方を見ている。
気まずいなあ。穴が開くように、半目のまま見られてる。この店員の立ち読み撃退術なのかもしれないとすら思える程のガン見である。
なんだか、居づらいなあ。やはり家に帰って親に一報入れようか?でもせっかく出掛けたのに、何もないまま帰るのはちょっと悔しい気もするなあ。マンガも良い所なんだけどなあ。
マンガの中では、裏切り者を倒した主人公が泣きながら黒幕に吠えかかって剣を抜いていた。
最初のコメントを投稿しよう!