仮面

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しかたない、このマンガは今度大学の誰かに借りよう。 持ってる人がいればだけど。 名残惜しさに裾を引かれながら、そろそろと古本屋を出ていく。 大きな歩道橋の下で雨を避けながら、さて、と気持ちを切り替えて頭を巡らせる。 駅前だけあって、繁華街にはそれなりに様々な店がある。手頃な店は服屋、ファーストフード店、CD屋、DVDレンタルショップ。 居場所を失ってしまって僕はキョロキョロと左右を見渡す。 うーん。どれも長い時間を潰すのは無理そうだな。映画を観たい気分でもないし。 しかたない、やっぱり帰ろうか。 びゅうっと鋭い風が僕を突き抜けた。 もう十月も終わるような時期。その上雨ときた。 立っていてもすこぶる寒いだけだ。 そうだ、帰ろう。 帰って何かあたたかい物を食べよう。 インスタントラーメンとか、シチューとか。 ……そう言えば、こんなくそ寒い日はいつまで続くんだろう。 携帯を操作しながら踵を返す。 検索を掛けると最悪の結果が提示された。 驚く事に、画面の週間天気予報は雨の日マークが3つ続いていた。 まずい……。 こんな事なら洗濯物をあんなに溜めとくんじゃなかった。これでは明後日には着るものが無い。部屋干しするのは避けたい。それとも、乾燥機だけコインランドリーのを使うか。 いや、雨空の下では運搬手段が無いな。 最寄りのコインランドリーまで15分は掛かるし、量を減らしても布地のリュックでは中まで濡れてしまう。 しかたない、やはり部屋干しが妥当か。 臭くなるから嫌なんだよなあ……。 キッチンの下の換気扇なら、いくらかマシになるかな。 あ、シチューの素まだあったかな?
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