第2話チョココロネと牛乳

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窓から見る空は外で見る空よりもくすんでいる。きっとそれは、窓に汚れがついているから…だと大抵の人は言うであろう。でも私は違う。窓から見るもの全ては今いる場所よりも遠くにあって、手には届かないもの。 それは自分が内にいるから。内にいるとまるで鉄の鎖に縛られているように感じて、私は嫌い。だから私は外…自由が好き。 早くこの世界を抜け出してたくさんの"しあわせ"を感じたい。そんな想いに浸っているとチャイムが鳴った。 「行かなきゃ…。」 重苦しい足取りで教室へ向かう。 少し力を入れて開けたドアは音を立ててスライドした。やっぱり、その音に反応するクラスメート。それを無視して席へ着く。 1時間目の用意をしなくてはと教科書を取り出そうとしたが、何もない。ペンケースもノートもない。机の中には、何一つ物が入っていないのだ。 私が顔を上げるとクラスメートたちは急にそっぽを向いた。目を合わせないように。答えはもう出ている。こいつらが犯人だ。 きっと赤井くんが私に近づいたのは、このためなんだと勝手に解釈する。いや…勝手ではない。意図的だ。仕方なく私は、何も用意しないまま下だけを向いていた。 .
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