第2話チョココロネと牛乳

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「ん…。」 目を重く開いて最初に目に映ったのは、白い天井。あぁ…私は死んだのだろうか?死というものはこんなにも儚いものか。そんな思いに浸っているとずいっと顔が出て来た。 「…赤井くん?」 「目、覚めたか。良かった~。」 彼は安堵し何処かへ消えた。きっと先生を呼びに行ったのだろう。とりあえず、何時か知りたかった。でもケータイを持っていないからすぐに確認することは出来なかった。 体も思うように動かず、痛かった。むくりと起き上がりベッドから出ようとすると、先生を呼びに行ったであろう赤井くんが戻って来た。 「お前、倒れたばっかなのに動くんじゃねぇよ。」 片足をベッドから出したまま固まった。彼に止められたから。でも私は赤井くんに止められる理由も権力もない奴の言うことを聞かない。必死に止めようとしていると保健室の先生が来てしまった。 「谷村先生!渡部さんが…。」 「あらあら。もう歩けちゃう位、元気なのね。 ちなみに今は、18時15分よ。」 私の心を見透かしたように言った。そして、もう18時を過ぎてしまった…。一刻も早く帰宅せねば。制服の乱れを直し、ショルダーバッグを肩に掛ける。 「帰るなら送るわよ?」 「いい…1人で帰る。」 「…赤井くん、この子を家まで送ってあげて。」 「えっ!?あ、はい。」 1人で帰ると言ったのに、彼女は赤井くんに一緒に帰るよう促した。彼も返答した。 「さ…「さぁ、暗くならないうちに帰る。」 ズイズイと保健室から追い出す。2人きりになったこの空気はあまりにも気まずい。気まずいが早く帰宅しなければと自分に言い聞かせ、歩き出した。 赤井くんも私の後をついて来た。 .
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