第2.5話君とチョコ

2/8
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/109ページ
オレは赤井 圭助。高校2年生だ。この学年の中でトップを飾るイケメンさ。…っていうのは表の顔。実際は人に嫌われたくないために装っているだけ。本当は人気者なんかじゃない、弱虫な人間なんだ。 それを悟られないように振る舞っているが、結局女子としか喋っていない。男子とは表の顔のせいで嫌われている。オレは、どうしてもそのクセが出てしまう…。これがオレの一番汚くて嫌いなこと。 そんなオレの見ている世界を変えたのは渡部 愛子だった。彼女は一人でいつも過ごしている。しかも伊藤がイジメているのにも関わらず、学校に来ている。 オレが本当の姿を出したらきっと、学校に行かず不登校になっているだろう。そして、今日もイジメが行われている。 「あら、教科書忘れたの?ノートもないじゃない。 あなた、学校に何しに来ているの!?」 現代文の時間、渡部さんが教科書を読むように指示されたが、彼女は教科書を持っていなかった。出席番号が一番前で彼女とは端と端なため表情は分からなかった。 オレは、現代文の教科書だけ忘れてしまったのだと思っていたが、今日の授業全てのものを忘れていた。これは単なる偶然なのだろうか。オレはどうしても偶然とは思えなかった。 .
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!