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彼女のことを少し看てと言われ、再びベッドの方へ向かう。すると、そこにはベッドから出ようとしている渡部さんの姿があった。
「お前、倒れたばっかなのに動くんじゃねぇよ。」
少し強めの発言をした。オレは彼女が心配だった。また倒れて今度は、もう二度と起きなくなるのではないかと。目でそれを訴えていると、タイミング良く谷村先生がカーテンを開けて入って来た。
「谷村先生!渡部さんが…。」
「あらあら、もう歩けちゃう位、元気なのね。
ちなみに今は、18時15分よ。」
一瞬、何故先生が時刻を言ったのか分からなかった。その後、彼女は少し寝ていたから時間を教えたのだろうと思った。決してそれが本当のことかどうか分からないが。
オレも帰らなければとカバンを肩に掛ける。ふと渡部さんの方を見ると、彼女も制服の乱れを直しショルダーバッグを肩に掛けているところだった。彼女は一人で暗い夜道を帰るのかなと思っているとオレの同じ考えの問いを投げかけた。
「帰るなら送るわよ?」
「いい…一人で帰る。」
一人で平気なのかと心配していると。
「…赤井くん、この子を家まで送ってあげて。」
「えっ!?あ、はい。」
谷村先生も心配していたのか、結局オレと帰ることになった。ちらっと渡部さんの方を見ると不満そうな顔をしている気がする。
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