第1話クリームパンと苺牛乳

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午前の授業が終わり45分間のお昼休みに入る。チャイムが鳴ると同時に私は、先生が教室を出るよりも前に出る。パンが入ったビニール袋を持って。 行き先は誰もいない屋上。ここが唯一、学校でお気に入りの場所であり全てを忘れられる場所でもある。ドアを開けて、もう一つ上に登るはしごがあるのでそこを上に行く。広さは小さいけど、フェンスも何もなく風が澄み渡っているので気持ちが良い。 「……。」 無口のままビニール袋からクリームパンと苺牛乳を取り出す。これがいつものお昼ご飯。甘いものが好きな私にとっては至福の時。 一口、また一口とパンを頬張っていると突然、勢いよくドアが開いた。開けた主は赤井 圭助だ。 「ったく、何でオレがあんな奴らに笑顔見せなきゃなんねーんだよ!」 明らかに怒っている。奴らというのはきっと、クラスの人間だろう。それが特定の者かあるいは、男子か女子かは分からない。でも赤井くんが男子と話している所を見たことはない。 女子と話さない私は、彼のことについて何も知らない。むしろ、知りたくない。面倒なことに関わりたくないので気にせず食事を続ける。 ガンッガンッ …この音は…もしや…。 .
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