小宮さんが秘書

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素面でも面倒くさい男がアルコールと言う魔物の力を借りて更に面倒くさくなった。 だいたい、その気持ちもどこまで持続できるのか分からない。 今度こそ本気かもしれないし、結果彼女は運命の相手ではなかったと他に移るかもしれない。 と、別にどっちでも良いが。 問題はコイツは一一般人ではないという事だ。 大道寺家の跡取り息子ともなればシンデレラガールを探しまくるのが大衆と言うもの。 モカちゃんの場合は上手く立ち回っているが、コイツは本当に・・・ もう少し自分が世間に注目される的だという事を頭に入れるべきだと思うが。 そういう所が憎めないって事なのか。 得な性格してやがる。 万が一、こんな事を俺がやったりしたらそれこそやり玉に上げられる。 「俺の話聞いてる?」 「いや、まったく。これっぽっちも興味ねー」 「尊臣君の馬鹿!」 「いや、マジでそれ気持ち悪い。 とにかくその彼女に本気だからって事だろ」 「そういう事!」 「だったら、今の状況はまずいんだよな」 「その通り」 「だったら俺に協力するよな」 何が?みたいな顔をするが、全面的に協力してもらうぞ。 勿論、豪太一人じゃない。大道寺家も巻き込んでだ。 「お前の今の状況だと俺の話なんて全く頭に入らないだろうから、明日の昼改めて時間作れ」 「は?いや、俺明日会議あるし」 「知るか。彼女に本気なんだろ?だったら俺と会う時間作れ。じゃないとこのまま彼女とは縁がなかったって事になるぞ」 脅しをかけると、酔いの回った頭で色々考えたんだろう。 暫くして、朝一ならなんとか時間取れると返事した。 俺にだって時間があるわけじゃないが、今この好機を逃すわけにはいかない。 「忙しいから帰るぞ」 「まだ飲んでる最中」 「そんな暇ねー。俺に協力するって事は時間関係なく仕事するって事だ」 「体もたねーよ」 「もたせろ。若いんだろうが」 「若くねー」 「愚痴るな。欲しいもんは自分で動かねーと手に入んねーんだよ」 「重みのある言葉」 「実体験からだ。馬鹿」 「了解。だから、この一杯だけ付き合え」 「仕方ねーなー」 協力の杯って事で、二人で乾杯をした。
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