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玄関横の和室の鴨居に引っ掛けてあるハンガーから紫色のダウンを取って、上に羽織る。
完全に女捨ててるよね。
なんて思いながら、せめて髪くらいはとゴムで一つにまとめて結ぶ。
外に出て庭に回ると、サクラ(柴犬・メス)がクルクルと回りながらはしゃいでいた。
リードをつけると、速攻で走り出そうとするサクラ。
「チョイ待ちサクラ!」
慌てて追いかけようとするが、そこは年齢的壁が立ちはだかり数歩で断念。
伸びないリードで、サクラが行動を制限され、その上少しだけ同情が入った目で私を見上げる。
まあ、気持ち的問題だから、サクラが私に同情してる訳ないんだけどさ。
哀れに思ったのか、私の歩調に合わせてくれるサクラ。
なんて頭の良い犬だろうか。
はぁと吐き出した息は、真っ白。
2月という外の空気は、今の私には冷たすぎる。
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