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やっぱり飲み足りないから付き合えと言う豪太の馬鹿を置き去りにしてアルコール臭を漂わせながらマンションに帰る。
タクシーを降りると目の前に足が現れる。
「遅い」
声の主が誰かはすぐに理解した。
「お宅のバカ兄貴につき合わされたんだよ」
「それじゃあ仕方ないか。
八重っちほったらかしで他の女とイチャコラとかだったらそのぴーーーーを握りつぶしてあげようと待ち構えてたのに」
「モカちゃんの本気っぽいから止めてくれる?」
「モカはいつでも全力だからね」
うん。知ってる。
「てか女の子がこんな遅くまで外に居るのは感心しないんだけど」
「ケントが居るから大丈夫」
柱の陰に隠れるようにケントの顔が現れる。
このバカップルは一体何をしてるんだ。
「で、待ち伏せしてまで俺に用って何?」
「豪太の事は自業自得だからまぁどうでもいいんだけど、あんまり派手にやられるとモカにとばっちり来ちゃうから、そろそろ動こうかなぁと。
で、勝手に動いちゃったら尊臣君困るでしょ?」
「そうだね。君は突っ走ってちゃうだろうから」
こっちの計算丸つぶしなんて事になったらシャレにならない。
「これでも八重っちの事大好きだし」
「みたいだね」
「だからこれ以上、かき回されるの嫌なんだよね」
「それはこっちも一緒だからね。
とりあえず明日豪太の方を片づけるつもりで昼に時間を取る様に言っといたから、もう少し待ってもらえると有難いな」
んーーーと考えて、仕方がないなぁと呟く。
「こっちも早く決めちゃいたいからなるべく早くね」
「モカちゃんそれを言うためだけにここで待ってたの?」
「だってそっちの方が説得力あるでしょ?
電話やメールなんて所詮顔が見えないし、どれだけ切羽詰ってるかなんて伝わんないじゃん」
恐るべしモカちゃん。
この子の行動力を豪太に10分の一でもいいから分けて欲しいよ。
「やられっぱなしって言うのは性に合わないからね。
そろそろ反撃に出るつもりだよ」
「そっか。んじゃいいや。ケント帰ろ」
ちっすと頭を下げてモカちゃんと歩き出すケント。
いや、お前そんな挨拶の仕方したらまた小宮にどやされんぞ。
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