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「そして重要な代償がもう一つ。あなたが生き返る代わりに、それ相当の不幸があなたの周りの誰かに振り掛かるの。それは、家族の誰かかもしれないし、クラスメートかもしれない。はたまた、全く知らない隣人の可能性もあるし、あなた自身の可能性だってある。けど、生き返るとはそういうこと。もしそれが嫌なのなら、止めることをお勧めするわ」
少し、僕は躊躇った。
自分の願望の為に他の人間を不幸にする権利が、果たして僕にあるのだろうか。
けど、そんな心配よりも僕の背中を押す大きな気持ちを感じた。
会いたい。何としても、もう一度あの女の子に会いたい。
ただそれだけの私情で、僕は生き返る選択を優先した。
「いや、もう覚悟は決めたんだ。大丈夫だから、僕を生き返らせてくれ」
すると、彼女は「そう」とだけ言って、それから初めて僕に笑みを浮かべる。端麗な顔立ちが浮かべる笑顔は、死神とは程遠い天使のような優しいものだった。
「……羨ましいわ」
「羨ましいって、何が?」
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