第一章 新学期と変化

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「それで、お父さんは何でここに?」 「ちょっと雫に用があってな。まぁ用はすぐに済んだんだが、帰ろうとしたら浩介と鉢合わせしてな。そんで一緒に酒を飲んでたのさ」 そう説明する隼人さんだが、隣に居る涼香の笑みからは、黒さが全く消えていない。 「そうなんだ」 「おう、久し振りに会ったからな」 「へー…。でも、久し振りだからって、こんなにお酒を飲むのはね」 二人の後ろに広がる酒瓶、酒樽を指差す。 「いや…ははっ…」 顔をひきつらせながら隼人さんは笑う。 「このことは、お母さんに報告するから」 「ちょっと待って!お願いだから待って!香織に言うのだけは待ってくれ!!」 振り向いた涼香に飛びつき、すぐに土下座しながら懇願する隼人さん。 父親の威厳なんてものは微塵もない。 自分の娘に土下座するって、隼人さんってもしかして、家族間の力関係で一番下なのか? 「浩介さん、雫さんは居ますか?」 そんな二人を華麗に無視する竜也。 「雫なら、執務室で書類と睨めっこしてるよ」 「そうですか」
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