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「何でですか?」
「…強いて言うなら、いざという時のためね。また、半年前みたいなことが、ないとも言えないからね」
真剣な表情をして、話していく。
「近くに居るのなら、守れるけれど。毎回必ず近くに居るとは限らないでしょ。最低限、力を付けてもらわないとね」
「でも、慎司が」
「確かに慎司は強くなったわ。たった一週間で、あなた達に届きそうなぐらいにね。でも、まだまだ力不足よ。蓮や浩介さんクラスの相手が出て来た時は、自分の身すら守りきれないわ」
「…そのための力ですか?」
「そうよ」
「分かりました。じゃあこれは、俺から渡しておきます」
引き出しから取り出した本を加えて、四冊の本を雫さんからもらい、部屋を出ようと後ろを向く。
「あなたもそう思ったから、その本を取り寄せてもらったんでしょ?」
手に持った本ではなく、懐の魔法陣を指差す。
何でもお見通しということかな?
「…さぁ、どうでしょうね」
そう返して部屋を出て、健吾達の待つ、一階へと足を進めていった。
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