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世界が全て紅く染まっていた。
空も地面も全てが…。
赤く猛々しく燃え続ける炎。
その中にある二つの人の影。
一つは倒れ、もう一つはその影を抱き抱えていた。
「死ぬなッ!死なないでくれ!」
少年は叫ぶ、抱き抱えた者に向かって、悲鳴に近い声で、喉が潰れまで叫び続ける。
抱き抱えられている者。少女は、弱々しく微笑み、少年の手を握る。
「ごめん‥ね。約束…守れないや…」
少年の手から離れていき、少女の手が地面にぽとんとつく。
少年は少女の名前を叫び、揺らす。
しかし少女からは返答が返らず、少女は一切動かなくなった。
少年は少女を、抱き締めながら泣き叫んだ。
「!」
紅い髪をした少年が飛び起きる。
「ハァ…ハァ…ハァ…」
少年は、全身を冷や汗で濡らし、息を荒くしていた。
「健吾、大丈夫か?」
隣に居る蒼い髪の少年が、顔を覗いてくる。
「あ、ああ…大丈夫だ」
俺は額の汗を拭い、彼にそう返した。
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