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「現役Sランク魔導師に稽古をつけてもらってるんだろ?いいじゃないか。俺は羨ましいと思うな。そんな人に稽古つけてもらえるんだから」
頬杖をついて言う忍を、慎司は軽く睨むような目で見て口を開く。
「そうは言うけどな。実際、受けて見ろよ。結構、無茶苦茶だぜ」
慎司は体を起こし、目をくわっと開く。
「いきなり山に連れて行かれたと思ったら、崖から突き落とされて、腕の力だけで登ってこいとか、荒れ狂ってる海に放り込まれて、大海龍を倒してこいとか、あの人と模擬戦やると、容赦なく急所を狙ってきて何回死にかけたか分からないし、それになッ!!」
「も、もういい。もういいから、俺が悪かった」
凄い剣幕で、叫ぶように話す慎司を見て、少し引きながら忍は謝る。
「慎司。お前の気持ちは、よく分かるぞ」
「ああ、俺らも酷い目にあったからな」
俺と竜也は、慎司の肩をポンッと叩く。
もう思い出したくもない。あの人の修練方はおかしい。いきなり数百匹は居るだろう魔物の大軍の中に放り込んだり、慎司の言ったようなことをされた覚えがある。
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