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山内くんのダミ声が作った「ブンガクブノオンナ」という言葉に体は素直に反応し、ファイルのレポートを取り出した僕はそれをさっと山内くんに渡した。
「いつする?」
携帯を尻のポケットから取り出して、スケジュールを確認してみた。オーケー。一ヶ月先だろうが二ヶ月先だろうが、僕のスケジュールに予定の文字はない。
バイトも先週辞めた。
夏休みまでには彼女を作って夏休みイチャついて、焼けた肌で焦げて絡んで、とか色々、そりゃあ色々想像して、その資金作りのためにバイトしてたけど、どうやら無理っぽいと一種悟りのようなものが僕の空虚な胸を打ったので、辞めたのだ。
レポートを受け取った山内くんは、さして面白くもなさそうに「今日」と言った。レポートを綺麗に四つ折りにして自分の鞄に突っ込んでいる。
颯爽と彼は立ち上がる。なんとなく凛々しい。僕は山内くんを今まで誤解していたのではないだろうか。口臭マルボロメンソール野郎。彼女はどうせニキビ面の赤ら顔で田舎にいそうな、いかにも!な女に間違いあるまい。山内くんが着てる服はいつもくたくたで穴の開きまくったジーンズで、週一回も洗ってねぇだろうな代物だ。
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