◇プロローグ◇

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ぼくの家にはお母さんがいません。だから、ぼくは『お母さん』ってやつがなんなのかしりません。 同じクラスの、よしくんやみやこちゃんちに行くと、『お母さん』って人がやって来て、ぼくを家の中に入れてくれます。 それから、よしくんとかみやこちゃんがやって来て、『お母さん』って人にぺったりひっつきながらぼくに笑いかけます。 照れているけど、じまんしてるみたいな顔で。 ぼくにはお母さんはいません。だから、その人がたとえばいたとしてっていう想像もできません。 けれど、ぼくにはお父さんがいます。お父さんは毎日帰りがおそくて、つかれてて、あまりぼくにかまってくれません。 そんなお父さんでも、ぼくにはたった一人の家族です。だから、ぼくはお父さんが大好きで、それはきっとお父さんもそのはずで。 そうじゃなかったらって考えるとちくちくと痛む場所がぼくにはあるから、考えないようにはしています。 そんなお父さんがたまに作ってくれるハンバーグとか、オムライスは凄くおいしいです。 おいしいってぼくが感じるっていうことは、お父さんがいっしょうけんめいに料理を作ってくれたしょうこです。
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