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ヘボ学部のくせに課題提出が多い。中世思想家の考えと、現代史における文章の成り立ちの比較とか、そんな。
わけがわからない。
けど、点数欲しさに僕はレポートを書き殴り、いつも真面目にそれを提出していた。
そして、そんな僕に目を付けたやつが居た。
「コナちゃん」
馴れ馴れしく僕の昔からの愛称を呼ぶのは、山内くんという男だ。
「レポート出した?」
山内くんが口を開くとマルボロの臭いがする。愛煙家、山内くん。口臭と交じりて、マルボロ最悪に醸し出し悪臭なり。
「出したけど」
口を出来るだけ開かないようにして答えた。
「うはー、見して、見して」
くさい、くさい。くさやのほうが多分ましだ。君は歯を磨いているのか。そして、なんでこんな口臭野郎に彼女が居るのだ。ちゅーとかしてるなら奇跡だ。
「いや、そんな必要はないよ」
顔を背けて僕は答え、鞄から半透明なファイルを出した。そこから更にレポート用紙を出した。
「はい、これ山内のために書いたから」
山内くんはきょとんとする。
「お前、俺のを丸写しにするだろ。そんなことされたら、俺の成績に響くんだよ」
ひらりと机の上にレポート用紙が滑った。
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